生命保険料控除とは?大事なことをわかりやすく解説!
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鉋六 貴之2020.10.09
毎年、カレンダーの残り枚数が気になる頃になると、保険会社から郵送されてくる「生命保険料控除証明書」。
「年間で支払った生命保険の保険料に応じて、控除が受けられますよ」というものなのですが、皆様はムダなく活用されているでしょうか?
分かりにくいと思われることも多い所得控除や生命保険料控除について、知っておきたい大事なポイントや、申告方法などについてお伝えします。
生命保険料控除とは?税金が安くなる仕組みをわかりやすくご紹介
生命保険料控除、聞いたことのある方も多いかと思いますが、一体どんな仕組みなのでしょうか?
まず簡単に、生命保険料控除とは何か知っておきましょう。
生命保険料控除とは?
生命保険料控除とは、1年間に支払った保険料に応じて受けられる所得控除を指します。
生命保険料控除は平成22年に大きな法改正があり(※)、この結果、生命保険には、次の5種類が存在しています。
〇旧・一般生命保険
〇旧・個人年金保険
〇新・一般生命保険
〇新・介護生命保険
〇新・個人年金保険
※平成22年の法改正適用による変更点
・旧制度(平成23年12月31日以前に契約した保険)
→「一般生命保険」「個人年金保険」の2種類に分類
・新制度(平成24年1月1日以降に契約した保険)
→「一般生命保険」「介護医療保険」「個人年金保険」の3種類に分類
税金を抑えられる仕組みと控除の対象となる保険
そもそも税金は、所得(収入)に応じて金額が決まります。
保険料控除とは「所得から、保険料として支払った金額を引いて、それから税金を計算し直しましょう」という制度です。
収入から控除を差し引いて、残った所得に応じた所得税と住民税がかかってきます。
そのため控除が大きくなるほど、所得税と住民税の額を抑えることができるのです。
保険料の控除のために、保険会社が「この人は今年、この金額の保険料を支払いましたよ。」もしくは「12月までにこの金額を支払ってくれることになっていますよ。」と証明してくれるのが、保険料控除証明書なのです。
保険料控除の対象となっているのは、生命保険と地震保険(いずれも条件があります)。
自動車保険、海外旅行保険、ペット保険などは控除の対象にはなりません。
火災保険も以前は控除の対象でしたが、現在は対象外です。
生命保険料控除額の計算方法とは?
新制度か旧制度かによって、控除額の計算方法が異なります。
旧制度の場合
平成23年12月31日以前に生命保険を契約した場合の控除額は、以下のように計算します。
年間の支払保険料が25,000円以下 ⇒ 控除額は支払保険料の全額
25,000円超50,000円以下の場合 ⇒ 支払保険料 ÷ 2 + 12,500円
50,000円超100,000円以下の場合 ⇒ 支払保険料 ÷ 4 + 25,000円
100,000円超の場合 ⇒ 一律50,000円
新制度の場合
平成24年1月1日以降に契約した新制度の生命保険の場合の計算方法は下記の通りです。
年間の支払い保険料が2万円以下 ⇒ 控除額は支払保険料の全額
20,000円超 40,000円以下の場合 ⇒ 支払保険料 ÷ 2 + 10,000円
40,000円超 80,000円以下の場合 ⇒ 支払保険料 ÷ 4 + 20,000円
80,000円超の場合 ⇒ 一律40,000円
生命保険料控除の知っておきたいポイント
生命保険料控除によって、実際に戻ってくる額は数千円となるケースが大半です。
支払った保険料と同じ金額が戻ってきたり、支払った保険料の分だけ税金が安くなるわけではありません。
控除証明書が送られてくるのは10月中旬頃から11月にかけて。
はがきまたは封書で控除証明書が送られてきます。
保険会社が順次ランダムに発送しているようです。
保険に加入した年から控除の対象となりますが、加入初年度のみ、保険証券と一緒に控除証明書が送られてきますので、見落とさないようにしてください。
年末が近づいてから新規加入した場合は、契約時に「証書・控除証明書の発行がいつになるか」を担当者に聞いてみると安心です。
控除証明書をなくしても再発行が可能です。
その場合、保険会社に問い合わせるといいでしょう。
また、保険料一括支払いで複数年契約の場合は、年数で割った金額が控除となる点に注意が必要です。
最後に大事なポイントとなるのが、共働きなど夫も妻も税金を納めている場合(扶養外の場合)、2人ともそれぞれ生命保険料控除が可能だということです。
証明書は1枚ずつ使うことができるので、税金を多く納めている方(収入が多い方)が、まず上限まで控除証明書を利用しましょう。
そして残った証明書でもう1人が控除を行うといった使い方をすれば、せっかくの控除枠がムダになりません。
生命保険料控除の申告方法は?会社員は年末調整、自営業の人は確定申告が基本
生命保険料の控除は、基本的に次の場面で行います。
・会社勤めの人は、会社の年末調整
・自営業の人は、税務署への確定申告
年末調整は、会社が代わりに所得を税務署に申告してくれる制度です。
年末調整の際には、「給与所得者の保険料控除申告書」に生命保険料控除証明書を添付し、会社に提出します。
ただし、会社勤めの人でも、何らかの理由で年末調整ができなかったり、モレがあった場合、個人で確定申告をして控除の申請を行うことが可能です。
また、年収が2,000万円以上であれば、会社員でも確定申告で生命保険料控除を申告します。
例えば、新築で家を建てた場合はその次の年に必ず1回確定申告を行う必要がありますので、その時にまとめて行ってもよいのです。
とはいえ、会社の年末調整の方が手間がかからないので、あくまで「何らかの理由によって年末調整でできなかった場合」の話になります。
確定申告のための提出書類は、国税庁ホームページ上で作成することができます。
郵送やネットでの申告もできますよ。
なお、確定申告は「毎年2月中旬~3月中旬の一か月間」とされています。
この期間の税務署は非常に混雑し、駐車場待ちの行列で周辺に渋滞が起こるほどです。
ですがこの「申告期間」というのは、納税する人に定められたもの。
これから税金を払うのではなく、還付を受けるだけの人は、1月の年明け直後から申請が可能となっています。
2月上旬までは税務署もまだまだ空いていて、職員の人が親切に相談に乗ってくれるので、還付申告をするならこの期間がおすすめです。
申告の書類の記入で迷いがちなところとしては、自分の生命保険がどの分類かという点。
それぞれ控除してもらえる保険料額の上限枠が設けられているので、生命保険料控除証明書を受け取ったら、まずは自分の保険の分類を確認する必要があります。
ですが、分類は、必ず証明書に記載されているので難しく考えなくて大丈夫。
その際、同一世帯内であれば、その保険が誰のものかを気にする必要はありません。
この分類さえしておけば、会社の年末調整であっても、個人の確定申告であっても、書類記入の仕方で迷うことはないはずです。
なお、保険料控除の申告は、さかのぼって5年前まで可能。
もしも控除申告をしていないものがあれば、あきらめずに申告しましょう。
生命保険料控除で上手く節税を!
多くの場合、保険料控除の節税効果は数千円程度です。
金額は大きくはないですが、大切なお金であることは変わりありません。
それに、もしも所得が税率決定のボーダー上にある場合には、税金や国民健康保険料などが大きく変わってくる場合もありえます。
生命保険料控除は、年末調整や確定申告での申告が必要。
旧制度か新制度かによっても控除額が変わるので、申告の際に生命保険料控除証明書でチェックしておきましょう。
5年前までの申告もできますので、ぜひ忘れずに控除申告をしてくださいね。
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- 記事を書いた人
- 鉋六 貴之 ジョンソンホームズ 保険事業部マネージャー
苗字が見慣れない方も多いかと思いますが、ほうろく、と申します。男の子、女の子の2児のパパです。車を運転することが好きで長距離ドライブも苦にならないので、最近の楽しみは自然豊かなキャンプ場で家族4人でのんびり過ごすことです。