地震保険の補償範囲は? 補償内容や保険金額の上限などを知って、不安を解消しよう!
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#お金のこと#メンテナンス#保険#防災
鉋六 貴之2023.04.07
日本は地震大国。特に近年は各地で大きな地震のニュースが後を絶たず、北海道で2018年に胆振(いぶり)東部地震に見舞われたのが記憶に新しいところです。
それに伴い関心が高まっているのが地震保険。
火災保険ではカバーされない、建物や家財の補償を行うものですが、その具体的な補償内容をよくご存知ではない方も多いようです。地震保険の概要について、事例を交えてご説明します。
地震保険加入は火災保険と必ずセット!保険料・補償内容は、どの保険会社で加入しても同じ。
地震保険のお話をする前に、まず知っておきたいのが
主契約の火災保険では、地震・噴火・津波を原因とする損害は補償対象外となる
ということ。地震や噴火、津波といった災害時には、一度に多くの方が被害を受け、多額の保険金支払いが発生するために、保険会社に大きな負担がかかるからです。
その対策として、国と保険会社とで共同運営する地震保険の制度が設けられました。
地震保険では、地震や噴火・津波による建物・家財の損害に対する補償が行われます(=保険金が支払われます)。
いくつか特徴があるのでみてみましょう。
1.どこの保険会社で加入しても保険料・補償内容は同じ
国主体の保険制度であるため、どこの会社で加入しても保険料、補償内容は同じ。
ただし、保険会社によっては、プラスアルファの特約を用意している場合もあります。
【保険料率】
※地震保険期間の始期日が2019年1月1日以降の地震保険契約
地震保険金額1,000万円あたり/地震保険期間1年(単位:円)/割引適用なし
2.補償対象は、居住用建物と家財
補償の対象となるのは、居住用の建物と家財。事務所や車などは対象外です。
3.補償内容は、地震・噴火・津波による損害
具体的な補償対象は「地震による火災」「地震による損壊」「噴火による埋没」「津波による流出」。これらはいずれも通常の火災保険では補償対象とならないものです。
つまり、地震保険に入っていないと、地震で発生した火事で自宅が焼けてしまっても保険金は支払われないのです。
4.火災保険とセット加入が必須
地震保険は単独では加入することができません。必ず火災保険とセットで加入しなくてはなりません。
保険金額も、火災保険と連動します。(5.参照)
加入期間に関しても、火災保険に合わせた期間を設定することになります。
5.保険金額は加入保険金額の30~50%の範囲内で設定
保険金額は、加入している火災保険金額の30~50%。
例えば、家に最大2000万円の火災保険をかけているならば、地震保険の保険金額は600~1000万円の範囲で設定することになります。当然、保険金額を低く設定すれば保険料は安く、高く設定すれば保険料も高くなることに。
実際に支払われる保険金額は、損害の程度に応じて変動します。(6.参照)
6.支払われる保険金は、損害の程度に応じて変動
損害の程度は「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4段階に区分されます。
「*地震保険損害認定基準」があり、判断を行うのは、専門資格を持った鑑定人です。
*内閣府が定める「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」とは異なります。
損害の程度に応じて、支払われる保険金は次のようになります。
※ただし、いずれの場合も時価額にそれぞれの割合を乗じた限度額が設定されます。
例えば「建物に対して1000万円」の地震保険をかけていた場合(=保険金額2000万円の火災保険に加入し、その50%の地震保険をかけた場合)、全損で1000万円、一部損で50万円の保険金が支払われることに。
7.加入は1社のみ。複数の会社での保険加入はムダに
複数の会社で保険加入をしても支払われる保険金の上限は変わりません。
十分な補償を得たい場合には、一社で上限まで加入するのがベストです。
8.年末調整・確定申告時の「控除」の対象
生命保険、医療費、住宅ローン等と同様に、所得控除の対象になります。
保険加入時に渡される保険証券に第1回目の控除証明書がついているので、切り取って、年末調整または確定申告に使用してください。
翌年以降は、毎年時期になると保険会社から控除証明書が送られてきます。
地震保険の目的や使い道とは?
地震保険による補償だけでは、壊れてしまった家を建て直すほどの補償を得ることはできません。
地震保険の目的は「建物を建て直すため」ではなく「人々の生活の安定に貢献するため」である、というのが根本にあります。
とはいえ、地震大国と呼ばれる日本にあって、災害後に立ち上がるために、大きな助けになってくれるものであることは間違いありません。
地震で損害が発生!保険金支払いまでの手続きの流れと、支払いまでの期間について
2018年の北海道胆振東部地震では、私一人だけでも約200名のお客様の保険金申請の手続きをさせていただきました。
お客様が受けられた損害には、主に下記のようなものがありました。
- 建物の基礎構造部分にヒビが入った。
- 外壁に亀裂が入った。
- 建物が傾いた。
- 物(家財)が落ちて壊れた。
地震で損害が発生した場合、保険金支払いまでの流れはこのようになります。
- 保険担当者または保険会社の窓口に連絡する。
- 鑑定人または保険会社の担当者から連絡が入り、日時を調整する。
- 鑑定人または保険会社の担当者が現場を訪問し、チェックシートにしたがって、損害の程度を鑑定する。
- 支払い対象となる場合、会社から請求書用紙が送られてくるので、必要事項を記入して返送する。
- 保険金が支払われる。
とはいえ、一度に多くの方が被災するのが地震。
保険金が支払われるまでに長い場合で一カ月以上かかることも。
応急処置をしても差し支えはありませんが、その場合、必ず写真を多めにとっておいてからにしてください。
賃貸住宅の場合、地震保険に加入するメリットは?
よく受ける質問に「賃貸住宅に住んでいるなら、地震保険に入る必要はありませんよね?」というものがあります。
賃貸の場合、建物の修理を行うのは大家さんで、入居者が保険加入で備える必要はありません。
ただし、入居者の持ち物である家財には、ぜひ地震保険加入をご検討いただきたいと思います。
地震で家のなかのものが壊れてしまった場合、すべて買い直すのはかなりの負担。
家財のみの保険では、保険料もそれほど高いものではありません。
建物に大きな被害があった場合。特約によっては、建物金額全額を補償することも可能です
これまでお話ししてきた通り、地震保険では、最大でも建物金額の半分までしか補償をつけることができません。
実際、大きな損害を受けて家を建て直すことになれば、ダブルローンとなる可能性が高く、経済的負担も大きなものになります。
これを「不安だ」と思う方も少なくないため、保険会社のなかには残りの半分も補償する特約を設けているところもあります(建物時価が上限)。
現在すでに地震保険に加入している方も途中から特約をプラスすることが可能ですので、興味がある方は一度保険料の試算をされてみるとよいでしょう。
※ご契約の保険商品の内容や詳細につきましては、各損害保険会社の相談窓口または代理店にご確認ください。
はれ暮らしを運営するジョンソンホームズでは、保険適応の診断から修理、保険会社との交渉まで、すべてワンストップで行ないます。
お問い合わせはこちらから。ぜひお気軽にご連絡ください!
参考サイト
地震保険|日本損害保険協会
http://www.sonpo.or.jp/insurance/commentary/jishin/
地震保険|あいおい日生同和損保
https://www.aioinissaydowa.co.jp/personal/product/tough/house/earthquake_comp.html
地震保険|東京海上日動
https://www.tokiomarine-nichido.co.jp/service/live/jishin/
地震保険|損保ジャパン日本興亜
https://www.sjnk.co.jp/kinsurance/habitation/earthquake/
- 記事を書いた人
- 鉋六 貴之 ジョンソンホームズ 保険事業部マネージャー
苗字が見慣れない方も多いかと思いますが、ほうろく、と申します。男の子、女の子の2児のパパです。車を運転することが好きで長距離ドライブも苦にならないので、最近の楽しみは自然豊かなキャンプ場で家族4人でのんびり過ごすことです。