自宅で温泉気分![実践編]温泉のプロに聞く自宅で温泉気分を楽しむ方法、入浴剤の選び方
生活
#健康#冬
はれ暮らし編集部2022.07.28
北海道初にして唯一人の「温泉ソムリエ師範」でありセミナー講師などとして活躍するさとう努さんに、温泉についてのお話を聞く企画の第二弾です。主に知識面でのお話を聞いた前回に続き、今回は自宅で温泉気分を楽しむ方法や入浴剤の選び方、より入浴効果を上げる入浴法など、実践的なお話を聞きました。
温泉のプロに聞く入浴や温泉の効果、入浴時の注意点がわかる、「自宅で温泉気分![知識編]」はこちら!
自宅で温泉気分を楽しむエトセトラ
どうもまいど!ニセコ町のトムです。
実践編となる今回は、まずは自宅で温泉気分を楽しむためのアイデアをいくつか紹介しましょう。
●洗面器、グッズを極める!
洗面器や風呂用椅子を、温泉旅館にあるような木製のものにしてみましょう。予算に余裕があれば、さらに攻め込んでヒノキ製がおすすめ。やさしい手触りと木の香りに気分がアガります。
●湯上りタオルを極める!
タオルを上質のものにするのもおすすめ。厚手のふわふわタオルが湯上り気分を心地よいものにしてくれます。さらに上を目指すなら、浴衣を用意するのもアリ。
●動画、音楽を持ち込む!
スマホやタブレットが防水仕様なら、お風呂に持ち込んで温泉動画を眺めながらリラックス。例えば「登別温泉の入浴剤を入れ、登別温泉の動画を見ながらバスタイム」といった入浴ができればカンペキです。
動画がない場合でも、防水スピーカーで波の音やヒーリング音楽を流すだけで、十分にリラックス効果が高まります。
入浴剤選びには「目的」を意識
そして温泉気分を盛り上げるのに欠かせないアイテムの一つが「入浴剤」!
とはいえ、数えきれないほどたくさんの種類があってどれを選べばよいのか、迷ってしまうという方も多いのではないでしょうか。
ドラッグストアなどで見かける「〇〇温泉の湯」というタイプの入浴剤は、そこの温泉水を採取したものではなく、その温泉の成分やイメージをもとに再現したものです。入浴剤を選ぶ時には目的、つまり「入浴剤に何を求めるか」を意識してみることをおすすめします。
●求めるのは「温泉らしさ」!
ドラッグストアなどで見かける「〇〇温泉の湯」タイプの入浴剤を選びましょう。
さらにランクアップさせるなら、温泉地で販売しているご当地の「湯の花」がおすすめです。成分的にはかなり薄くなりますが、実際にそこの温泉水から製造しているため、香りが立ち高い再現効果があります。ただし、硫黄成分を含む「湯の花」は、追い炊き機能のある風呂釜を傷める場合があるので注意が必要です。
●求めるのは「リラックス効果」!
リラックス効果を最優先したいなら、好きな香りで選ぶのもアリ。ラベンダーやカモミールなどリラックス系の香りを中心に、その日の気分で自由に選ぶとよいでしょう。
●求めるのは「薬理効果」!
生薬系の入浴剤、炭酸ガス系の入浴剤を選びましょう。
生薬系の場合、「冷え」「痛み」「肌トラブル」など表示された効果を参考に選べばOK。
炭酸ガス系というのは、バブやきき湯などタブレットや大きめの粒状のもので、お湯に溶かすと炭酸ガス(二酸化炭素)が発生します。この炭酸ガスは皮膚から血管に入り、血管を広げて血流を改善。体をポカポカと温めてくれます。
ちなみに二酸化炭素を含む湯が「二酸化炭素泉」と認められるためには、温泉1㎏に対し1000mg以上の二酸化酸素を含む必要があります。これを家庭で再現しようとすると、例えばバブなら10個以上一度に浴槽に入れることに‥。
もちろん1個でも十分効果が得られるように作られていますが「どうしても温泉と同じ効果を得たい」という場合には、大きめのバケツにお湯を張りそこにバブを1個投入し、ふくらはぎまで浸かる足湯にするのがおすすめです。
前の記事でもお伝えした通り、ふくらはぎには「第二の心臓」と呼ばれるポンプ機能があります。ここの血管を広げ血流を改善することで、大きな健康効果が期待できるのです。
塩に重曹、クエン酸。台所のイツメン(?)は入浴剤としても大活躍
塩化物泉の温泉成分は食塩(塩化ナトリウム)、炭酸水素塩泉の温泉成分は重曹(炭酸水素ナトリウム)。家庭のお風呂に食塩や重曹を一定量以上投入すれば、温泉と同じ効果が期待できることになります。
ここでおさらいをしましょう。
●塩化物泉(食塩と同じ成分を含む温泉)
保湿、保温、殺菌効果が期待できる。
●炭酸水素塩泉(重曹と同じ成分を含む温泉)
肌の古い角質を落とし、さっぱりさせる。美肌効果が期待できる。
したがって、浴槽に重曹と食塩を入れれば、肌の汚れがスッキリ落ちた上に保湿・保温効果を得られてバッチリ‥。
と、言いたいところですが、塩を直接浴槽に入れると、風呂釜を傷めてしまう場合があり、おすすめできません。一方の重曹は体だけでなく浴槽をキレイにしてくれる効果もあるので、直接浴槽に入れるのはむしろ推奨です。
ですので、塩、重曹を使った入浴でおすすめしたいのは次のような方法となります。
1.浴槽に大さじ1杯程度の重曹を溶かし、入浴。
2.大きめの洗面器かたらいに小さじ1杯程度の食塩を溶かし、上がり湯とする。
重曹によって汚れが落ちた肌は、水分の発散が盛んで乾燥しがちに。そこに塩を含んだ上がり湯をかけることで、体が塩分でコーティングされ保湿されるとともに、いつまでもポカポカが持続する、というのがこの入浴法の極意です。
体に触れるものですので、重曹はなるべく「食品用」の表示があるものを選び、上がり湯の後はシャワーで流さずそのまま上がること。塩を入れ過ぎると体がベタベタするので気を付けましょう。
さらに! プラスアルファの裏ワザとして、入浴時「重曹大さじ1~2杯に加え、クエン酸をその半量くらい入れる」というものがあります。
するとアラ不思議、重曹とクエン酸が化学反応を起こしてブクブクと炭酸ガスを発生し、バブ同様の二酸化炭素泉を楽しむことができるのです。
この場合もクエン酸は「食品用」の表示があるものを選ぶのがよいでしょう。
自宅に持ち帰りができる「温泉スタンド」の利用も!
「入浴剤では物足りない。どうしても自宅で本物の温泉に浸かりたい」という方には、温泉スタンドを利用する方法もあります。
●洞爺湖町・町営温泉(100リットル50円)
http://www.town.toyako.hokkaido.jp/tourism/spa/spa004/
●岩見沢市・万字ポンネ湯(任意の協力金)
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/content/detail/3097779/
●長万部町・温泉スタンド(無料)
https://www.town.oshamambe.lg.jp/uploaded/attachment/1584.pdf
●羅臼町・町役場温泉スタンド(無料)
より快適な入浴、そして眠りのために。プロが教える上級者テク
入浴で心身をリラックスさせることは、疲労回復、そして快適な睡眠にもつながります。
本記事の最後では、疲労回復効果をより高め、快適な眠りをもたらしてくれる入浴方法を2つお伝えしましょう。
●温冷交互浴
1.浴槽で温まる。
2.ふくらはぎを中心に膝下に水をかける。
(=ふくらはぎの血管をキュッと引き締めることで、心臓に血を戻すポンプ効果を高める)
これを3~5セット繰り返すと、驚くほど体が温まり疲労回復効果がアップします。除雪で足腰が疲れた後には特におすすめ。安眠効果もバツグンです。
●快眠入浴法
掟:寝る時間を決め、その90分前に風呂から上がるよう逆算する。
「人は体温が下がる時に眠くなる」「上がった深部体温は約90分で下がる」という性質を利用し、入浴を気持ちのよい爆睡につなげる方法です。
例えば、入浴時間30分の人が10時に寝たいなら、8時に風呂に入って8時半に上がればOK。90分後の10時が近づくと自然に眠くなるので、そこですかさず布団に入れば気持ちよく深い眠りにつくことができます。
そしてこの快眠入浴法、応用編としてさらに食事と組み合わせる〝究極の方法〟があります。それは‥。
食後は消化のため深部体温が上がり、約90分後にピークを迎え下がり始めます。そのタイミングで入浴し、さらに深部体温を上げてあげます。そして風呂から上がって90分後に就寝へと持っていくことで、より高い所から一気に体温が下がり、感動的な快眠が得られるというもの。これはすごいですよ。ぜひお試しあれ!
日常的に湯船に浸かり、時に温泉でより高い入浴効果を楽しむのは日本人の大切な文化。本記事を参考に安全にも気を配りながら、健康で快適な入浴ライフを楽しんでいただければ幸いです。
さとう努さん
温泉ソムリエ協会認定の温泉ソムリエ師範。他にニセコ温泉部部長。ニセコ観光圏「観光温泉大使」など、温泉および入浴に関する資格と肩書は10以上。カレーやど「アワグラス」代表(現在は休業中)。愛称は「トムさん」。東京都出身で、現在はニセコ町在住。北海道初にして唯一人の温泉ソムリエ師範として、道内各地で温泉ソムリエ認定セミナーを開催する。持ち前のユニークなキャラクターを武器にメディアでも活躍中。
- 記事を書いた人
- はれ暮らし編集部 ジョンソンホームズ
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