無落雪屋根に発生しやすい「雪庇(せっぴ)」の落とし方
掃除・お手入れ
#メンテナンス#冬#屋根#設備
神田 恵里2023.04.01
一冬分の堆雪の重みに耐えるフラットな無落雪屋根(正確には中央に溝があるM字型)を備えた無落雪住宅。
屋根に上って雪下ろしをする必要がなく、最近の主流ですが、積もった雪が屋根から張り出す「雪庇」には要注意です。そのまま放置すると、巨大な塊が落下し、大きなトラブルになりかねません。
雪庇について知っておきたい情報を、雪庇対策となる便利グッズや設備とともに紹介します。
屋根から雪が張り出す「雪庇」は落とさず放置していると大事故に!
「雪庇(せっぴ)」という言葉を辞書で調べると「山の稜線から風下側に張り出したひさし状の積雪」との説明文。でも、私たち雪国の住民にとっては、屋根から伸びたひさしのような雪の張り出しというほうがしっくりきますよね。
この雪庇、風が一方向に吹くことが多い地域で屋根の風下にでき、そのまま放置しておくと重みに耐え切れなくなって、地面に落ちてきます。
そうなると家と家の境を雪で埋めてしまったり、歩道をふさいでしまったり、駐車場に停めてある車を傷つけたり。
タイミング次第では、たまたま通りがかった人の上に落ちて大事故に…といった可能性もあります。
そうならないためにも、雪庇を見つけた時には早めに落としてしまいましょう。
大きくなってからでは落とす作業にも危険が伴います。
雪庇の落とし方は大きくふたつ。便利な「雪庇棒」もお試しあれ。
雪庇の落とし方には2つの方法があります。
1)屋根に上って上から落とす
2)地上から落とす
順に見ていきます。
雪庇の落とし方 その1)屋根に上って上から落とす
屋根に上って落とす場合は、まず屋根への上り下り時に滑らないよう注意が必要。
また、どこまでが屋根でどこから雪庇かの見極めが難しく、雪庇を踏み抜く危険があります。そちらにも細心の注意が必要です。
屋根に上がったら、どこまでが屋根かを確認しながら慎重に作業を!
もちろん、下に人がいないことを確かめる確認作業も必須です。
落とす雪は、小分けにし、一気に落下しないようにしましょう。
凍っている部分もあるため、一度に落とすと非常に危険です。
また、屋根中央のダクトの上は、あえて雪を残しましょう。
北海道のように寒気の厳しい地域では、雪が冷気を遮断して、ダクトが凍結するのを防いでくれますよ!
雪庇の落とし方 その2)地上から落とす
屋根に上るのはどうしても難しいという方は、地上から落とす方法を試してください。
役に立つのが「雪落とし棒」「雪庇棒」と呼ばれるもの。
先端に雪を割るための歯がついた2~6メートルほどの伸縮性の棒で、ホームセンターやインターネットなどで販売されています。価格は数1000円~2万円前後。
各家の屋根の高さに合ったものを選んで使いますが、2階建ての場合は棒自体もかなり重く、風などによるふらつきもあるので、窓や壁に当てないように気をつけて。
また周囲に人がいないことなども確認しながら使いましょう。
特に女性が地上から雪を落とす場合には、1本の雪落とし棒を二人で力を合わせて支えるようにするとグラグラせずに安定して使えます。
【参考】雪落とし棒の販売特集(通販モノタロウ)
https://www.monotaro.com/k/store/%90%E1%97%8E%82%C6%82%B5%96_/
いずれにせよ、作業を行う場合は絶対に一人では行わず、二人以上で行って万が一の事故に備えることが大切。
自分で作業をするのが不安な場合は専門業者に依頼するのもよいですね。
雪庇を落とす時は必ず近隣にも声がけを!雪庇落としで気をつけるポイント
雪庇を落とす作業は、時間が経つほど大変になります。基本は、見つけたらすぐ落とすこと。
ほかにも、注意したほうがいいポイントをまとめました。
雪庇を落とす際のポイント その1)家族や近隣の方に声がけを
作業前と作業後は、家族や隣り合った敷地の方にもひとこと声をかけるようにしましょう。落とした雪がお隣に入ることもあるため、ちょっとした気遣いが大切です。
雪庇を落とす際のポイント その2)必ずペアで作業をする
必ず二人一組で作業をしましょう。力のいる作業も多いですし、万が一、事故になったときも誰かが見ていることですぐに対応できます。
雪庇を落とす際のポイント その3)スコップはプラスチック製に
スコップはプラスチック製を使いましょう。金属製(アルミや鉄)のスコップは、屋根を傷つけることがあり、サビや穴の原因となります。
雪庇を落とす際のポイント その4)屋外の機器は、場所を確認し、養生する
屋外に設置してあるメーターや、ガスボンベ、室外機が傷つかないように必要があれば養生します。
雪庇を落とす際のポイント その5)ガラス窓に注意!必要があれば養生を
テラスや、張り出している玄関ポーチのガラスは、落ちた雪や氷で割れやすい箇所です。必要があればダンボールなどで養生しましょう。
安全に気をつけて作業をしましょう!
雪庇落としが不要になるかも!雪庇ガード取り付けのススメ
建物の工夫によって雪庇が出来てしまうこと自体を防ぎたいという方には、屋根の端に「雪庇ガード」を取り付けることで、雪庇ができにくくなるよう対策をするという方法もあります。
雪庇ガードには、風の流れを整えたり、熱伝導率の高い素材で太陽熱を効率的に取り入れて着雪やせり出しを防ぐなど、各住宅設備メーカーがさまざまな工夫を凝らしたものを開発しているので調べてみるとよいでしょう。
取り付け後は、特にランニングコストはかからないものがほとんどです。
新築時のほか、屋根のリフォームや修繕などの機会があれば、その時にあわせて取り付けるとよいかもしれませんね。
【参考】雪庇ガード セッピくん(理研興業株式会社)
「はれ暮らし」を運営するジョンソンホームズではメンテナンス部でもご相談を受け付けています。
業者さんの手配など、気になることがあるジョンソンオーナー様はお気軽にご相談くださいね!
(※ジョンソンホームズで建築・リフォームした方に限ります)
- 記事を書いた人
- 神田 恵里 ジョンソンホームズ メンテナンス部 ジョンソンレディ
オーナー様にお会いし始めて 気が付けば15年が経ちました。暮しに少し寄り添わさせていただいて、『お役に立てているだろうか?』と思う日々です。
夏はガーデニング、冬はソーイングで楽しみますよ。今年思い切って新しくミシンを2台購入ました!