24時間換気を止めるとどうなる?寒い時も必要な理由を解説!
掃除・お手入れ
#メンテナンス#健康#冬#暮らし方#設備
野坂 昌弘2022.07.29
近年の住宅にはほぼすべて取り付けられている、24時間換気設備。
家のなかにの空気を常に新鮮なものに保ってくれる一方で「冷たい外気が入ってきて寒いので、止めてしまっている」というオーナー様も見かけます。
でも、ちょっと待ってください!
24時間換気は止めないほうがいいのです。
今回は、そもそも24時間換気とはどういうものか、24時間換気を止めっぱなしにしたらどうなるのかについて解説します。
また、24時間換気の寒さ対策や必要なお手入れについても説明するので、ぜひ参考にしてくださいね。
24時間換気の種類や仕組み
24時間換気というのは窓を開けなくても室内の空気が強制的に入れ替わるシステム。
1時間で室内の空気の約半分を入れ替えることができ、強制換気システムとも言います。
2003年の建築規準法改定によって、すべての住宅は24時間換気システムの設置が義務付けられています。
設置が義務化された背景には、住宅の進化によって気密性が高まってきた一方で、シックハウス症候群が問題となったことなどがあります。
24時間換気は、外の空気を室内に取り入れる「給気」と、室内の空気を屋外に出す「排気」の機能を組み合わせで、次の3種類があります。
【第1種】
給気・排気とも機械(換気扇)で行う。
空気の流れ・量を調整しやすいが、コストが高い。
【第2種】
給気は機械(換気扇)で、排気は自然に行う。
クリーンルームなどのシステムで、一般家庭では使われない。
【第3種】
自然な力で給気を行い、排気は機械(換気扇)で行う。
ほとんどの一般住宅で使われている種類で、コストは抑えられるが、外気の冷たさが気になるケースも。
ジョンソンホームズの住宅もほとんどが第3種の24時間換気を設置。
給気はリビングや居室の壁などに取り付けられた給気口から自然に空気が入るようになっています。
排気は台所や廊下、浴室天井の排気口からファンの力で空気を吸い込んで換気システム本体に集め、外へ出す、という仕組みです。
給気口からは内部のフィルターによってホコリなどが取り除かれた外気がそのまま入ってきます。
冬には「寒さが気になる」とおっしゃるオーナー様が少なくないのは、この給気の仕組みが原因です。
24時間換気を止めるとどうなる?寒くても必要な理由
外気が入ってきて寒いと、つい24時間換気を止めたくなってしまいますよね。
ですが、24時間換気は止めずにつけっぱなしにすることをおすすめします。
なぜなら、24時間換気を止めっぱなしにすると、空気がよどみ、結露がひどくなったり、カビが発生する原因となるからです。
24時間換気を止めたままにすると、十分な換気ができなくなります。
換気が十分に行われないと、洗濯物や洗った食器から出る水蒸気やお風呂や料理から出る湯気など、室内の水分が部屋に溜まったままになってしまいます。
たくさんの水分を含んで湿った空気が窓際などに移動すると寒い外の空気によって冷やされ、空気中の水分が凝縮して水滴になるのです。
これが結露となり、放っておくとカビが発生したり家の木材が傷む原因となります。
昔のアパートではよく「押し入れの奥でカビが発生した」といった事態が起こっていましたが、あれは24時間換気がなく、空気がよどんだために起こっていたことです。
家の中にカビが発生すると健康にも悪影響が及ぶ可能性もあるため、給気口を閉めたままで放置することはやめましょう。
また、給気口を閉めたまま排気が行われ続けると、室内の空気圧が下がるため、給気口で不快な「笛鳴り音」が発生する原因にもなります。
24時間換気システムは止めずに正しく使い、さらに時々は窓を開けて新鮮な空気を直接取り込む時間を作るのがベター。
30分に1回、次のような換気を組み合わせれば安心です。
- キッチンの換気扇を回す。
- 換気扇からできるだけ遠い位置にある窓を、5分程度、少し(5㎝程度)開ける。
ちなみに、「電気代が気になって…」という理由で24時間換気を止める方もいらっしゃるようですが、24時間換気はそこまで大きく電気代はかかりませんよ!
各ご家庭の換気設備や契約している電力会社によって差はありますが、一般的には月100円~500円程度といわれています。
そのくらいの電気料金の負担で、家のカビの発生を防ぎ、家族の健康を守れるのであれば、十分なコストパフォーマンスと言えるのではないでしょうか?
24時間換気を止めることなく寒さも防ぐ方法
24時間換気を止めないほうがいいとはいえ、寒さは気になりますよね。
24時間換気を付けたまま寒さ対策をする方法をご紹介します。
カバー付きの給気口にする
外気を室内に入れる窓口になっている給気口を、カバー付きのものに変えてみましょう。
直接外気が身体に当たると寒さを感じやすいですが、カバーによって風の流れを遮ることができるので、寒いと感じにくくなります。
また、紙や薄い布などで給気口を覆うだけでも効果が期待できますよ。
全部覆ってしまわず、3分の1から半分程度覆って試してみてください。
給気量や排気量を調整する
24時間換気の機種によっては、風量を調整できるようになっているものもあります。
設定を確認して、風量が強になっていたら弱に切り替えてみてください。
それぞれのシステムによって設定すべき風量がことなるため、メーカーなどのサイトで確認してみましょう。
給気口を一時的に閉める
24時間換気を止めることになってしまいますが、どうしても寒い場合は給気口を一時的に閉めるのもひとつの方法です。
給気口は開閉式になっているので、「寒い日の朝晩、北側の壁にある給気口を一時的に閉める」といった使い方をしても問題ありません。
けれど、止めっぱなしは良くないので日中気温が上がってきたら忘れずに必ず開けて給気の再開をしましょう。
24時間換気以外での換気方法について、「冬も換気は必要?暖かい空気を逃さず空気を入れ換える方法をご紹介!」で詳しく解説しています。
部屋の暖かさを逃がさないように換気する「二段階換気」の方法もご紹介。
こちらも併せてぜひご覧くださいね。
24時間換気のお手入れ方法
24時間換気は適切なお手入れが必要です。
台所のレンジフード同様、掃除をしなければモーターに負荷がかかり、「モーターの寿命が縮まる」「大きな音がする」といったことにつながります。
24時間換気システムに必要なお手入れの方法について、見ていきましょう。
給気側
給気口内のフィルターの清掃が必要です。
一般に「2、3か月に一度水洗いを」と言われますが、住宅の立地、風向きなどによって、汚れ具合は大きく異なります。
給気口ごとに汚れ具合を見て、汚れていたら掃除を。
水洗いによってフィルターは縮んだりヨレたりすることもあるので、掃除機の使用がおすすめ。
汚れがひどかったり、目詰まりが見られるようなら交換してください。
交換用のフィルターはネットで入手できるほか、製品によっては当社にも在庫があるので、ジョンソンホームズオーナー様はメンテナンス部門までお問い合わせください。
自己責任とはなりますが、メーカー純正品以外の代替品やレンジフード用のシートを切って使う方法もあります。
排気側
天井の排気口内にはファン(換気扇)があるので、年に1回程度、掃除が必要です。
この「天井裏のドラム」については、メーカーによってお手入れの方法が異なります。
ユーティリティの天井には約50㎝四方の点検口があり、そこに説明書きがあるのが一般的なので、一度確認してみてください。
メーカー・機種によって、自分でできる場合と、専門業者への依頼が必要な場合とがあります。
ご自分で掃除する場合は、危険防止のため、必ず換気システムを停止し、掃除後、忘れずに運転を再開してください。
排気口かシステム本体のどちらかにフィルターがあるので、給気口フィルター同様に清掃をしましょう。
点検口を開けます。市販のドライバーでOK
このようなドラムが入っています
優しくほこりをとります。けっこうたまっています
24時間換気を止めるとカビや結露の原因に!寒い時も運転が必要
住宅への設置が義務付けられている24時間換気システム。
外気が入ってきて寒いとお悩みの方も多いかもしれませんが、止めてしまうと結露やカビ、異音などの原因になるので、基本的には常時オンにしておきましょう。
寒さが気になる場合は、給気口をカバー付きのものに変更したり、換気する空気の量を調整するのがおすすめ。
どうしても寒い場合は、一時的に給気口を閉めることもできます。
24時間換気は適切なお手入れをすることで、きちんと換気ができるだけでなく、モーターを長持ちさせたり異音の発生を防ぐことができます。
給気側と排気側のそれぞれで、ご紹介したお手入れ方法を実践してみてください。
適切な換気で、快適な暮らしの環境を維持して、健康な毎日を送ってくださいね。
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- 記事を書いた人
- 野坂 昌弘 ジョンソンホームズ メンテナンス部
子供と1日遊ぶと、正直仕事より疲れますが、それが私の日々のエネルギーになっています。